このドキュメントは
Feature Synopsis for OWL Lite and OWL
W3C Working Draft 29 July 2002
http://www.w3.org/TR/2002/WD-owl-features-20020729/
の和訳です。
この文書には和訳上の誤りがありえます。
内容の保証はいたしかねますので、必ずW3C Webサイトの正式版文書を参照して下さい。
OWL (Web Ontology Language) はW3CのWeb Ontology Working Groupで設計中の言語で,コンテンツの表示だけでなく,内容を理解する必要のあるアプリケーションで利用できる言語を提供することを目的としている.OWLは,XML,RDF,RDF-Sなどと比べ,
表現力を高めるための新たな語彙を用意することにより,Webコンテンツの機械可読性を大きく促進する.このドキュメントは,OWLの概論を記述したもので,まず最初に,OWL
Liteと呼ばれるOWLの簡易版について説明し,次に,OWL Liteに何が付加されるかによって,OWL全体を説明する.
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Recommendationsと他の技術レポートは http://www.w3.org/TR/で閲覧できる.
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本ドキュメントは,W3C Semantic Web
Activityの中の Web Ontology
Working Groupによって作成されたものである. Web Ontology Working Groupの目標は Web Ontology Working Group
charterの中で示されている.
本ドキュメントに対するコメントはW3Cのメーリングリストpublic-webont-comments@w3.orgに送付していただきたい.
本件に関する特許開示は現時点ではない.
目次
- はじめに
- 言語概要
- OWL Liteの概要
- OWL Lite RDF Schema Features
概要
- OWL Liteにおける同一性と非同一性の概要
- OWL Liteのプロパティ特性の概要
- OWL Lite Restricted Cardinality
概要
- OWL Liteのデータタイプの概要
- OWL Liteのヘッダ情報の概要
- OWLの概要
- OWL Class Axioms 概要
- OWL クラス表現の論理的組合せの概要
- OWL Arbitrary Cardinality
概要
- OWL Filler Information 概要
- OWL Liteの言語特性
- OWL Lite RDF Schema Features
- OWL Liteの同一性と非同一性
- OWL Liteのプロパティ特性
- OWL Lite Restricted
Cardinality
- OWL Liteのデータタイプ
- OWL Liteのヘッダ情報
- Incremental Language Description of
OWL
- まとめ
1. はじめに
OWL Web Ontology Language はW3CのWeb Ontology Working Groupで設計中の言語で,コンテンツの表示だけでなく,内容を理解する必要のあるアプリケーションで利用できる言語を提供することを目的としている.OWL言語は使用する語彙とこれらの語彙で表される実体間の関係を明示的に記述するために使用することができる.このように,OWLは,XML,RDF,RDF-Sの上位に位置し,Webコンテンツの機械可読性を高める.OWLはDAML+OIL web ontology
languageを改良したもので,DAML+OILの設計とアプリケーションでの使用から得られた知見を取り入れている.
このドキュメントの目的は,記述子の簡単な説明をリストアップすることで,OWLの概要を示すことにある.OWLのより完全な仕様については,OWL reference description documentとOWL Web Ontology Language 1.0
Abstract Syntaxの2つのドキュメントを参照していただきたい.
このドキュメントでは,最初にOWL Liteと呼ばれるOWL全体のサブセットについて述べる.OWL Liteの目的は,ツール作成者から見て,簡単で使いやすい言語を提供することにある.こうしたツールがOWLの幅広い使用を促進し,OWLの言語設計者がツール開発者の集まってくる言語を作ることを期待している.DAML+OILのような言語のすべての特性が特定のユーザにとって重要であることが広く認識されている一方で,DAML+OILと同等の記述力のある言語が言語仕様全体を満足するツールを開発しようとするグループをしり込みさせることも分かっている.多くの人が取り扱うことのできる目標を与えるために,より小さな仕様の言語が定義され,OWL
Liteと呼ばれている.OWL LiteはOWLとDAML+OILで共通に使用されている特性の多くを取り込もうとしている.また,OWL Liteは,Webアプリケーションにとって重要なfunctionalityを付け加えることによって,RDFS以上の記述力を持った言語を提供しようとしている.
2. Language 概要
このセクションではOWL LiteとOWLの言語概要を記述する.
このドキュメントの中でイタリック体で書かれた用語は,OWL言語で規定する用語である.用語の大文字/小文字は言語仕様と同じように記述している.rdf:またはrdfs:と書かれたプレフィックスは,RDFまたはRDF-Sの名前空間で規定される用語であることを示している.それ以外はOWL namespaceで規定される用語である.
2.1 OWL Lite 概要
OWL Liteの要素をまとめると次の通りである.
2.1.1 OWL Lite RDF Schema Features
概要
- Class
- rdf:Property
- rdfs:subClassOf
- rdfs:subPropertyOf
- rdfs:domain
- rdfs:range
- Individual
2.1.2 OWL Liteにおける同一性と非同一性の概要
- sameClassAs
- samePropertyAs
- sameIndividualAs
- differentIndividualFrom
2.1.3 OWL Liteのプロパティ特性の概要
- inverseOf
- TransitiveProperty
- SymmetricProperty
- FunctionalProperty (unique)
- InverseFunctionalProperty (unambiguous)
- allValuesFrom (universal local range restrictions;
previously toClass)
- someValuesFrom (existential local range
restrictions; previously hasClass)
2.1.4 OWL Lite Restricted Cardinality
概要
- minCardinality (restricted to 0 or 1)
- maxCardinality (restricted to 0 or 1)
- cardinality (restricted to 0 or 1)
2.1.5 OWL Liteのデータタイプ概要
Following the decisions of RDF Core.
2.1.6 OWL Lite のヘッダ情報の概要
- imports
- Dublin Core Metadata
- versionInfo
2.2 OWL 概要
OWLに付け加えられる要素をまとめると次の通りである.
2.2.1 OWL Class Axioms 概要
- oneOf (enumerated classes)
- disjointWith
- sameClassAs applied to class expressions
- rdfs:subClassOf applied to class expressions
2.2.2 OWL クラス表現の論理的組合せの概要
- unionOf
- intersectionOf
- complementOf
2.2.3 OWL Arbitrary Cardinality
概要
- minCardinality
- maxCardinality
- cardinality
2.2.4 OWL Filler Information 概要
- hasValue Descriptions can include specific value
information
次のセクションでは,拡張された言語特性について述べる。
3. OWL Liteの言語特性
本セクションではOWL Liteの言語特性について英語で記述する.abstract syntaxが言語の説明用に用いられる.OWL
LiteはOWLの記述子のサブセットを持ち,またいくらかの制限を持つ.OWL言語全体(またDAML+OIL)とは異なり,クラスはその上位クラスとある種の制約だけを用いて定義される.クラスの同一性と複数のクラス間のサブクラスだけが認められている.同様に,OWL
Liteにおけるプロパティの制約はクラスを用いる.OWL Liteはまたcardinalityに対して限定された概念を持っている.すなわち,陽に0か1と記述されたcardinalityだけである.
3.1 OWL Lite RDF Schema Features
OWLはRDF言語の制限された拡張とみなすことができる.このことはOWLで書かれたドキュメントはRDFドキュメントであることを意味している.すべての用語は,明示的に記述されていなくても,OWLの名前空間の中にある.このように,Classという用語は正確にはowl:Classであり,rdfs:subPropertyOfはsubPropertyがrdfsの名前空間に由来することを示している.このドキュメントでは,個体という用語をあるクラスに属する実体を指し(例えば,個体DeborahはクラスPersonに属す),同様に
データタイプ(例えば,個体4は整数)である対象を指す.
- Class: クラスは,他のクラスや制約の組み合わせとして,あるいはそのサブクラスとして作り出すことができる.Thingという名前の最も一般的なクラスがはじめから存在し,これはすべての個体のクラスであり,すべてのクラスのスーパークラスである.クラスThingの新しいサブクラスとしてMammalという名前のクラスを選択することができる.(後で,追加的な情報を含めるためにMammalの記述を変更する.)また,Mammalのサブクラスとして新しいクラスPersonを作ることもできる.これによって,推論エンジンはクラスPersonの任意のインスタンスがクラスMammalのでもあることを導き出すことができる.なお,サブクラスの階層構造の中で,繰り返しクラスを作り出すことに制限がないことを注意して欲しい.
- rdfs:Property: 個体間の関係を記述するのに用いられる用語がプロパティである.プロパティの例には,hasChild,hasRelative,hasSibling,hasAgeなどが含まれる.最初の3つはクラスPersonのインスタンスをクラスPersonの他のインスタンスと関係付けることを推測でき,最後の1つ(hasAge)はクラスPersonのインスタンスをデータタイプIntegerのインスタンスと関係付けることを推測できる.
- rdfs:subClassOf: クラス階層はクラスが他のクラスのサブクラスであることを記述することによって形成される.例えば,クラスPersonはクラスMammalのサブクラスであると記述できる.これによって,推論エンジンは,XがPersonであれば,XがMammalであることを導き出すことができる.
- rdfs:subPropertyOf: プロパティ階層はプロパティが他のプロパティのサブプロパティであることを記述することによって形成される.例えば,hasSiblingはhasRelativeのサブプロパティであると記述できる.これによって,推論エンジンは,XがYとhasSiblingで関係付けられているならば,XはまたYとhasRelativeで関係付けられていることを導き出すことができる.
- rdfs:domain: プロパティは変域(domain)を持つ(すなわち,XがYとプロパティpとその変域となるクラスで関係付けられているならば,Xはその変域となるクラスのインスタンスでなければならない).例えば,プロパティhasChildはMammalを変域に持つと言うことができる.これによって,推論エンジンは,XがYとプロパティhasChilldで関係付けられていれば,すなわちYがXの子供であれば,XがMammalであることを導き出すことができる.変域はグローバル制約であることを注意して欲しい.何故なら,制約がそのプロパティについて記述されていて,そのプロパティがある特定のクラスと結びついているときにのみ記述されるわけではないからである.より詳しい情報については,以下のローカル制約についての議論を参照いただきたい.
- rdfs:range: プロパティは値域(range)を持つ(すなわち,XがYとプロパティpとその値域となるクラスで関係付けられているならば,Yはその値域となるクラスのインスタンスでなければならない).例えば,プロパティhasChildはMammalという値域を持つと言うことができる.これによって,推論エンジンは,LouiseがDeborahとプロパティhasChiledで関係付けられていれば,すなわちDeborahがLouiseの子供であれば,DeborahがMammalであることを導き出すことができる.値域は上記の変域と同様にグローバル制約である.より詳しい情報については,以下のローカル制約についての議論を参照いただきたい.
- Individual: 個体(individual)はクラスのインスタンスとして記述でき,またプロパティはある個体を他の個体と関係付けるのに使用できる.例えば,Deborahという名前の個体は,クラスPersonのインスタンスとして記述でき,プロパティhasEmployerは個体Deborahと個体StanfordUniversityとを関係付けるのに使用できる.個体を定義するシンタックスについては,参考文献をご覧いただきたい.
3.2 OWL Liteにおける同一性と非同一性
次の記述子は同一性と非同一性に関するものである.
- sameClassAs: 2つのクラスが同一であることを記述することができる(すなわち,同じ個体の集合に対する別の名前であることを記述).これは同義クラスを定義するのに使用することができる.例えば,Carは
AutomobileとsameClassAsであると記述できる.これによって,推論エンジンはCarのインスタンスである個体はAutomobileのインスタンスでもあることを導き出すことができる.
- samePropertyAs: 2つのプロパティが同一であることを記述することができる.例えば,hasLeaderはhasHeadとsamePropertyAsであると記述できる.これによって,推論エンジンは,XがYとhasLeaderの関係にあれば,XがYとhasHeadの関係にもあることを導き出すことができる.推論エンジンはまた,hasLeaderがhasHeadのサブプロパティであり,hasHeadがhasLeaderのサブプロパティであることを導き出すことができる.
- sameIndividualAs: 2つの個体が同じであることを記述することができる.これは同じ個体に対して複数の異なる名前を付けるために使用することができる.例えば,個体DeborahはDeborahMcGuinnessと同じ個体であることを記述することができる.
- differentIndividualFrom: 2つの個体がお互いに異なっていることを記述することができる.例えば,FrankとDeborahが別人であると記述する.これによって,推論エンジンはFrankとDeborahが2人の異なる人を指していることを導き出すことができる.このように,FrankとDeborahの個体があるプロパティの値であれば,that
is stated to be functional (thus the property has at most one value),矛盾があることが判る.個体の違いを記述することは,OWLやRDFのように,個体が唯一の名前を持つことを前提としないシステムでは重要である.例えば,OWLに付加的な記述がなければ,FrankとDeborahが異なる個体を指していることを導き出すことができない.
3.3 OWL Liteのプロパティ特性
OWL LiteとOWLには,プロパティとその値に関する情報を記述するための特別な識別子がある.
- inverseOf: プロパティは他のプロパティのinverseであることを記述できる.例えば,プロパティP1がプロパティP2のinverseで,XがYとプロパティP2で関係付けられていれば,YはXとプロパティP1で関係付けられている.例えば,プロパティhasChildがプロパティhasParentのinverseで,Deborah
hasParent Louiseであれば,推論エンジンはLouise hasChild Deborahであることを導き出すであろう.
- TransitiveProperty: プロパティはtransitiveであることを記述できる.あるプロパティがtransitiveで,組(x,y)がそのtransitiveなプロパティPのインスタンス,また組(y,z)がプロパティPのインスタンスであれば,組(x,z)もプロパティPのインスタンスである.例えば,ancestorがtransitiveで,Saraが
Louiseのancestor(すなわち,(Sara,Louise)がプロパティancestorのインスタンス)で,LouiseがDeborahのancestor(すなわち,(Louise,Deborah)がプロパティancestorのインスタンス)であれば,推論エンジンはSaraがDeborahのancestor(すなわち,(Sara,Deborah)がプロパティancestorのインスタンス)であることを導き出すことができる.
同じDAML+OIL側の制限としては,transitiveなプロパティ(とその上位プロパティ)にatmost1あるいはexactly1といった制約を加えないようにしている.より詳しい情報については,abstract
syntaxに関するドキュメントのproperty axiomのセクションを参照願いたい.
- SymmetricProperty: プロパティはsymmetricであることを記述できる.もし,あるプロパティがsymmetricで,組(x,y)
がsymmetricプロパティPのインスタンスあれば,組(y,x)もまたPのインスタンスである.例えば,friendはsymmetricプロパティであると記述できる.FrankがDeborahのfriendであることを与えられた推論エンジンはDeborahがFrankのfriendであると導き出すことができる.もちろん,symmetricであるために,プロパティは適切な変域と値域を持たなければならないことを注意して欲しい.
- FunctionalProperty : プロパティは唯一の値を持つことを記述できる.あるプロパティがFunctionalPropertyであれば,そのプロパティは高々1つの値を持つ.こうしたプロパティはユニークプロパティと呼ばれている.これを記述するもう1つの方法は,そのプロパティのminimum
cardinalityを0,maximum cardinalityを1にすることである.例えば,hasPrimaryEmployerはFunctionalPropertyであると記述することができる.personの個体インスタンスが雇用主を持つならば,その個体は2つ以上の雇用主を持たない.しかしながら,これはすべてのpersonが少なくとも1つの雇用主を持つことを意味しない.この提案は,transitiveプロパティも,上位プロパティも,関数的であると宣言することを認めていないDAML+OILの仕様で述べられているのと同じ副次的条件を含んでいる.この制限についての詳細な情報は,DAML+OIL reference
descriptionの中のプロパティの説明部分の警告,あるいは,この制約を破ることによる非決定性を示しているHorrocks,Sattler,Tobiesによる研究論文の中の警告をご覧いただきたい.この名前はまだ議論の途中である.更なる情報については参考文献をご覧いただきたい.
- InverseFunctionalProperty (unambiguous):
プロパティは逆関数的であると記述することができる.プロパティが逆関数的であれば,そのプロパティの逆は関数的である.このように,プロパティの逆は高々1つの値を持つ.これはまた曖昧性のないプロパティとも呼ばれる.例えば,hasUSSocialSecurityNumber(米国在住者にとってのユニークなID)は逆関数的(曖昧性がない)と言うことができる.このプロパティの逆(
isTheSocialSecurityNumberForと呼ばれるかも知れない)は高々1つの値を持つ.このように,ある人の社会保障番号はhasUSSocialSecurityNumberプロパティの唯一の値である.これによって,推論エンジンはPersonの異なる2人の個体が同一のUS
Social Security Numberを持つことはないことを導き出すことができる.また,推論エンジンは,もしPersonの2人のインスタンスが同じ社会保障番号を持っていれば,これらの2人は同一の個体を指していることを導き出すことができる.更なる情報については参考文献をご覧いただきたい.
OWL Liteはプロパティの値に制約を与えることができる.
- allValuesFrom (toClass in DAML+OIL):
allValuesFromはあるクラスのあるプロパティについて記述される.特定のクラスのプロパティはローカルな値域制約を持つ.このことは,あるクラスの個体インスタンスがあるプロパティにおいて2つ目の個体と関係付けられているならば,2つ目の個体はローカル値域制約クラスのインスタンスであると推論できる.例えば,クラスpersonは,hasOffspringと呼ばれ,クラスpersonとallValuesFromの関係で制約されるプロパティを持つことができる.このことは,クラスpersonの個体LouiseがプロパティhasOffspringで個体Deborahと関係付けられているならば,推論エンジンはDeborahがクラスpersonのインスタンスであることを導き出すことができることを意味する.このことは,プロパティhasOffspringが,他のクラス,例えばクラスCatと一緒に使用され,そのクラスに関するプロパティの値について適切な制約を持つことを許す.この場合,hasOffspringは,クラスCatと関係付けられていればCatのローカル値域制約を,クラスPersonと関係付けられていればPersonのローカル値域制約を持つ.推論エンジンはallValuesFrom制約だけからはそのプロパティに少なくとも1つの値が存在することを導き出すことができないことに注意して欲しい.
- someValuesFrom: (hasClass in DAML+OIL):
someValuesFromはあるクラスのあるプロパティについて記述される.特定のクラスでは,あるプロパティについて少なくとも1つの値が特定のタイプであるという制約を持つことができる.例えば,クラスSemanticWebPaperは,hasKeywordプロパティについて,そのプロパティのいくつかの値がクラスSemanticWebTopicのインスタンスであることを記述したsomeValuesFrom制約を持つ.複数のキーワードを持ち,少なくとも1つ以上がクラスSemanticWebTopicのインスタンスであるというオプションを考慮すると,その論文はsomeValuesFrom制約と一致する.allValuesFromと異なり,someValuesFromは,そのプロパティの全ての値が同じクラスのインスタンスであるように制約しない.myPaperがSemanticWebPaperクラスの個体インスタンスであれば,myPaperは,hasKeywordプロパティにおいて,SemanticWebTopicクラスの少なくとも1つの個体インスタンスと関連付けられる.推論エンジンはhasKeywordの全ての値がSemanticWebTopicクラスのインスタンスであることを導き出すことができない(allValuesFrom制約と同様)ことに注意して欲しい.
3.4 OWL Lite Restricted Cardinality
OWL Liteにはcardinalityに関する限られた制約が含まれている.OWLのcardinalityに関する制約は,ある特定のクラスのプロパティについてのみ記述しているため,ローカル制約と呼ばれている.すなわち,そのクラスのインスタンスのそのプロパティのcardinalityを制約するものである.OWL
Liteのcardinalityに関する制約は限定的なもので,cardinalityの値が0か1の場合だけを許している(Full OWLのように任意の値のcardinalityを許していない).
- minCardinality: Cardinalityは特定のクラスのプロパティについて記述される.もし,あるクラスのあるプロパティについてminCardinalityが1と記述されていれば,そのクラスの任意のインスタンスがそのプロパティに関して少なくとも1つの個体と関連付けられている.これは,そのクラスのすべての個体インスタンスに対して,そのプロパティが必要であることを表現するもう一つの方法である.例えば,クラスparentは,プロパティhasOffspringに関して,minimum
cardinalityとして1を取る.これによって,推論エンジンは,クラスpersonの個体インスタンス,例えばLouise,がhasOffspringプロパティに関して少なくとも1人の個体と関係付けられていることを導き出すことができる.この情報だけでは,推論エンジンは,クラスparentの個体インスタンスの子供の最大数を導き出すことはできない.OWL
Liteでは,minimum cardinalityとして許されているのは0か1である.プロパティのminimum cardinalityが0であることは(それ以上の情報がない限り),そのプロパティがそのクラスにとってオプショナルであることを意味する.例えば,プロパティhasOffspringは,クラスpersonにおいてはminimum
cardinalityが0である(一方,クラスparentにおいてはminimum cardinalityが1である).
- maxCardinality: Cardinalityは特定のクラスのプロパティについて記述される.もし,あるクラスのあるプロパティについてmaxCardinalityが1と記述されていれば,そのクラスの任意のインスタンスがそのプロパティに関して最大1つの個体と関連付けられている.こればしばしば,関数的,あるいは,ユニークなプロパティと呼ばれる.例えば,クラスUnitedStatesCitizensのプロパティhasRegisteredVotingStateは,maximum
cardinalityとして1を取る(何故なら,国民はひとつの州でのみ投票することが許されているからである).これによって,推論エンジンは,クラスUSCitizensの個体インスタンスが,hasRegisteredVotingStateプロパティにおいて,2つ以上の異なる個体と関連付けられることがないことを導き出すことができる.maximum
cardinalityが1であるという制約だけでは,推論エンジンはminimum cardinalityが1であると導き出すことはできない.特定のクラスについて特定のプロパティが値を持たないことを記述するのは有効である.例えば,クラスUnmarriedPersonのインスタンスは,プロパティhasSpouseによってある個体と関係付けられるべきではない.これは,クラスUnmarriedPersonのプロパティhasSpouseについて,maximum
cardinalityを0とすることによって表現できる.
- cardinality: Cardinalityは,あるクラスのプロパティが,minCardinality
0とmaxCardinality 0の両方,または,minCardinality 1とmaxCardinality
1の両方を持つ場合の便宜のために用意されている.例えば,クラスpersonはプロパティhasBirthMotherに対してひとつの値を持つ.これによって,推論エンジンは,同じ人のhasBirthMotherプロパティの値として,2人の異なる母親を持つことはないことを導き出すことができる.
3.5 OWL Lite のデータタイプ
- Datatypes がOWL Liteには含まれる.これにより,例えば,値域はXSD:decimalのように記述できる.正確な詳細はRDFのデータタイプを決めているRDF
core groupに依存している.さらに詳しい情報は,参考文献の中のdatatypePropertyとobjectTypePropertyの仕様をご覧いただきたい.
3.6 OWL Lite のヘッダ情報
- imports: importsは現在のオントロジに適用される定義を含む他のOWLオントロジを参照する.それぞれの参照はそのオントロジをどこから取り込むかを表すURIから成る.Imports文はtransitiveである.すなわち,オントロジAがオントロジBをインポートし,BがCをインポートするならば,AはBとCの両方をインポートする.オントロジが自分自身をインポートすることはnull
actionとみなされる.もしオントロジAがBをインポートし,BがAをインポートするならば,それらは同じオントロジであるとみなされる.
- Dublin Core MetaData: オントロジはまた,そのオントロジの著者のような,非論理的な情報を持つ.主な候補は,Dublin
Core Metadata標準で決められているオントロジ属性である.
- versionInfo: versionInfoは一般に版を表した文字列,例えば,RCS/CVSといったキーワード,から成る.versionInfoはオントロジについての論理的な意味を持たない.
4. Incremental Language Description of OWL
Full OWLはOWL Liteを次のように拡張している.
- oneOf (enumerated classes): クラスはそのクラスを構成する個体を列挙することによって記述することができる.クラスのメンバーは,列挙された個体の集合だけであり,それ以上でもそれ以下でもない.例えば,クラスdaysOfTheWeekは,単純に個体Sunday,Monday,Tuesday,Wednesday,Thursday,Friday,Saturdayを列挙すすることで記述できる.これによって,推論エンジンはdaysOfTheWeekをallValuesFrom制約に持つプロパティのmaximum
cardinalityが7であることを導き出すことができる.
- hasValue (property values): プロパティは特定の個体を値(プロパティフィラーと呼ばれることもある)として持つことを要求することができる.例えば,クラスdutchCitizensのインスタンスは,プロパティnationalityの値としてtheNetherlandsを持つことで特徴付けられる.(ここで,theNetherlandsは全ての国籍を表すクラスのインスタンスである.)
- disjointWith: Full OWLはクラスに重なりがないことを記述できる.例えば,manとwomanはお互いに重なりのないクラスである.これによって,推論エンジンは,ある個体が両方のクラスのインスタンスであると記述されていれば,矛盾があると結論付けることができ,また同様に,AがManのインスタンスであれば,AがWomanのインスタンスではないことを導き出すことができる.
- unionOf, complementOf, and intersectionOf
(Boolean combinations): OWLはクラス間の任意の論理結合,すなわち,IntersectionOf,UnionOf,complementOfを認めている.例えば,クラスDutch
citizensとクラスsenior citizensのintersectionによって,クラスDutch senior citizensを記述することができる.complementを使えば,childrenがsenior
citizensでないことを記述できる.(すなわち,クラスchildrenはsenior citizensのcomplementのサブクラスである.)EUのcitizenshipは,すべてのEU加盟国のcitizenshipのunionとして記述することができる.
- minCardinality, maxCardinality, cardinality
(full cardinality): OWL Liteではcardinalityがat least,at most,あるいは1か0のいずれかに限定されているが,Full
OWLではcardinalityの記述を任意の正数に許している.例えば,クラスDINKs ("Dual Income, No Kids")
はプロパティhasIncomeのcardinalityをminimum cardinality 2と制限する(一方,プロパティhasChildはcardinalityが0であると制限されなければならない).
- complex classes : 多くの箇所で,OWL Liteはシンタックスをひとつのクラス名に制限している(例えば,subClassOfやequivalentClassで).Full
OWLでは,これらの箇所を,クラスの列挙,プロパティ制約,これらの論理的組合せ等の任意の複合クラス記述に拡張している.OWLはまた,Nothingという名前の特別な“最下位”クラスを含んでいて,これは空のクラスである.
このドキュメントは、OWL LiteとFull OWLの両方の特性概要を示すことによって、OWL言語を概念的に記述したものである.記述子の英語による簡単な説明を簡単な例と共に示した.シンタックスの説明については考慮せず、詳細はOWL reference description documentとOWL Web Ontology Language 1.0
Abstract Syntaxの2つのドキュメントを参照している.このドキュメントの古い版(2002年7月8日版,2002年6月23日版,2002年5月26日版,2002年5月15日版)では,OWL
Liteの発展の経緯とその際に議論された問題についても述べている.